2018.09.03
創業150年をこえる老舗酒蔵を営むお客様。
以前から弊社は、特定の酒販売店が売上構成比の7割を占めていたため、取引先の偏りを懸念していました。
弊社は、売上構成比の7割を占める得意先との取引が万が一停止してしまった場合、売上が激減してしまうことを危惧していました。
そこで弊社は、新たに事業を展開することでその割合を減少させ、売上の偏りを解消する拡大路線の施策を打ち出しました。
具体的には、従来の工場の稼働のみでなく、同じ敷地内に新たにレストランやお土産品を購入できる販売店を新設するという提案でした。
日本酒や地場野菜などが楽しめるレストランで食事を楽しむことができ、さらにお帰りの際にレストランで堪能したお気に入りの日本酒などをお土産に購入していただけるというものです。
加えて従来の酒蔵の規模を拡大し、生産性・製造能力の向上を図りました。それに伴い、新たに酒蔵見学サービスの開始を提案し、酒蔵見学スペースを新設することになりました。
またホームページの開設により、通信販売事業を開始し、酒蔵にお越しいただけない場合も日本酒を購入できることができるシステムの構築し、売上の向上を図りました。
1. 酒蔵規模の拡大、レストラン・お土産店の新設で売上高が2倍に
① 酒蔵
これまで小規模な酒蔵にて製造していたため、生産できる日本酒の数量に限りがありました。
隣接する空き地を開発してレストランやお土産店を新たに併設すること、また他の販路の拡大を進めるにあたり、これまでの倍以上の製造スペースや装置が必要になるため、酒蔵の規模の拡大計画を打ち出しました。
それに伴い、弊社の経営コンサルタントは酒蔵見学サービスの開始を提案しました。
近年の海外インバウンド客の増加と日本文化のブームを鑑み、外国人観光客を取り込む施策もご提案。
12か国語に対応した多言語のパンフレットなどを用意するなど、国内外問わずより多くの方に日本の伝統的な文化を知っていただく取組みも併せて推進しました。
酒蔵を増築し製造スペース、生産規模が拡大したことで、これまでの2倍以上の生産が可能になりました。
また酒蔵見学を目的にお越しになるお客様も増えたことで、併設するレストランや土産店の売上も必然的に上がり、売上拡大につながりました。
② レストラン
酒蔵の隣に、日本酒に合う地場野菜や近郊の漁港にて獲れる新鮮な魚、また県内の有名黒毛和牛などをふんだんに使用したランチやディナーを堪能できるレストランの開発を進めました。
地元の方だけでなく、遠方からお越しのお客様にもご利用いただきやすいよう、リーズナブルな価格帯のメニューを多数取り揃えました。
また地産地消をコンセプトにした日本酒に合う料理を提供したことで、より多くの日本酒ファンのお客様にご来店いただける店舗づくりに成功しました。
③ 土産店
酒蔵見学に来られたお客様やレストランでお食事されたお客様にそこで気に入った日本酒をご自宅でも堪能していただきたいという社長の思いから、お土産の販売店を新設しました。
また従来の酒販売店向けに出荷していた商品のみならず、酒蔵でしか購入できない「限定品」も充実させ、酒蔵に来場することによる「特別感」、「希少性」を演出し、「酒蔵でしか買えない限定品」を目的のお客様の来場やリピーターの獲得を狙いました。
さらに社長の日本酒へのこだわりや思いを瓶のデザインやパッケージに反映するとともに、従来の伝統的なイメージを残しつつ「SNS映え」するようなモダンな印象のデザインに刷新しました。
2. 販促戦略を提案
これまで広告媒体は新聞の折り込みチラシのみでしたが、ホームページを新設しました。
シンプルで見やすくどこか日本らしさ・伝統を感じるモダンなホームページで、これまで「渋い」というイメージだった日本酒のイメージを刷新し、日本酒好きなお客様だけでなく、これまで日本酒にあまり馴染みのなかったお客様までを視野に入れ販促プロモーションを展開しました。
また酒蔵見学やレストランの予約ページを設けることで利便性を追求するとともに、通信販売ショップを開設して通信販売部門も新設し販路の拡大を図りました。
さらにインスタグラムなどのSNSなどを通じて、レストランの季節のメニューやおすすめメニューも定期的に更新するとともに、酒蔵見学の情報の掲載や新商品の紹介を行うなどプロモーション活動にも力を入れました。
3. 投資の回収とその後の利益・キャッシュなどを追跡して分析・改善指導
新たな投資活動を行う上でもっとも大切なのが、「投資利益率」。
「どれだけ効率的に利益を出すことができ、投資を回収することができているか」を当初の投資回収計画(10年)に渡って分析を行いました。
さらに社長に対し、ただ投資を行うだけではなく、投下した資本を回収すること、さらには「投資回収後においてどれだけ利益を出すことができるのか、またキャッシュを獲得することができるのか」が、経営においてもっとも重要であることをお伝えし、これまで社内であまり意識されてこなかった「企業体質の改善」を行いました。
これにより、会社全体としての「売上・利益に対する意識」が抜本的に変わり、「より健全な経営」、「キャッシュ・フロー」を行うことができる会社へと成長することができました。
このように弊社は、「価格戦略(Price)」、「商品戦略(Products)」、「人事戦略(Personnel)」、「販促戦略(Promotion)」、「市場戦略(Place)」というマーケティングにおける「5つのP」から、利益(Profit)にアプローチし、より健全なキャッシュ・フロー、より良い経営をすることができる企業に導くコンサルティングを行っています。