2018.08.10
こんにちは。今回はじめてコラムを執筆します。
拙い文章ですが最後まで読んでいただけると幸いです。
目次
- 私の楽しみ美術館
- 相続税 税務調査により把握される申告漏れ相続財産
- 『現金・預貯金等』 名義預金
1.私の楽しみ美術館
先日、京都国立近代美術館 横山大観 最終日に行って参りました。
灼熱の京都☀でしたが、事前に仕入れておいたチケットを持って、それほど混みあうこともなく涼しい館内をまったりとした時間を過ごしました。
TOPの作品名は《群青富士》1917年(大正6年)頃の作品です。
実際の大きさは縦176cm×横384cmを横に2枚並べた大きさで、狩野派の金屏風のような絢爛豪華という感じではなくシンプルな表現だと思うのですが横山大観には富士山がこんな風に見えたんだ!という思いでその迫力に感動しました。
美術について知識はないのですが、見たいものを見に行き好きなように思いを馳せる。
本物から伝わってくる何かを感じて非日常的な空気に漂う。仕事や家族から離れた自分だけの静かな時間が私をリフレッシュさせてくれます。
私の仕事は税理士で、相続税の申告書を作成させて頂く上でお亡くなりになった方のご親族様とお話をすることが大変重要な仕事となりますが、その際にいつも自分の心と体を整えてお仕事に向き合うことを心掛けております。
さて、本題に入りますが平成26年に発生した相続を中心に実施した相続税調査により把握される申告漏れ相続財産に占める割合は土地は12%に満たず、現金・預貯金等の割合となると約33%にまで跳ね上がってきております。
※国税庁「平成28事務年度における相続税の調査の状況について」付表2
○申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移より
2.相続税 税務調査により把握される申告漏れ相続財産
『現金・預貯金等』 名義預金
①用語の説明
相続税は人の死亡によって財産が他者に移転する機会に、その移転した財産に対して課される税金。
その亡くなった人を被相続人。財産を取得する者を相続人・受遺者という。
ここからの文章においては次の設定としてご説明します。
亡くなった人:夫 A
相 続 人:妻 B
相 続 人:長男 C
相 続 人:長女 D
②名義財産の帰属の判断基準
名義預金に限らず、財産の名義は相続人であるものの、実質的な所有者は被相続人であるものを一般に名義財産という。
(例)
××銀行の預金通帳の名義は妻B。しかしその預金のお金は夫Aの○○銀行預金から振替えられたものである。夫Aの○○銀行預金のお金は会社員である夫の給与が長年にわたって蓄えられたものである。
∴妻B名義の××銀行預金は夫Aの財産である。
(名義財産の判断基準・東京地裁平成20年10月17日判決に基づく)
・財産又は財産の購入原資の出捐者(シュツエンシャ) … その資金源
・財産の管理及び運用の状況 … 誰がその財産を管理していたか?
・財産から生じる利益の帰属者 … 利息や配当は誰が受け取っているか?
・被相続人と名義人・財産の管理運用者との関係 … 夫Aと妻Bは夫婦
・名義人が名義を有することとなった経緯 … なぜ××銀行預金口座の名義が妻Bなのか?
⇓
これらを総合的に勘案する!
??????どうして名義預金の話になっているの?
相続財産の漏れで多いのが現金・預貯金等で、相続税は亡くなった夫Aの財産に対して課税される。妻Bの財産には当然課税されない。それでは、妻Bの××銀行預金にあるお金は妻Bの財産なのか?夫Aの財産なのか?という判断をしております。
③「実質帰属者課税の原則」
財産が相続開始時点において誰に帰属するのか?
財産の名義と実質的な帰属者が異なる場合には、法律上の実質的な帰属者に対して課税する。
すこしシンプルにQ&Aで上記の内容を表現してみると…
Q1 専業主婦の妻Bの財産は?
A1 結婚前の財産・相続や贈与でもらった財産など。宝くじの当選金品があるかも?
Q2 お仕事をしている妻Bの財産は?
A2 A1の内容プラスそのお仕事で稼いだ財産
Q3 妻Bの△△銀行の印鑑を夫Aが持っていたら?
A3 夫Aが△△銀行の預金を支配、管理しており夫Aの財産かもしれません。
Q4 夫Aは銀行預金について、その管理運用は妻Bに全て任せていた。
管理運用している人は妻Bだから、◇◇銀行の妻B名義の預金は妻の財産?
A4 夫婦間において、妻が夫の財産について管理運用することは不自然なことではないことから、妻Bが 管理運用していたということが、◇◇銀行の妻B名義預金が夫Aの財産ではなく、妻Bのものである。ということを示す決定的な要素であるということはできない。
妻の預金は危ういですね((+_+)) 自分で働いたお金はしっかり貯金して、生活費や諸々は夫のお金を使いましょう(*^^*) 私も一応妻の立場から内助の功といいますか、夫の財産は夫婦共有の財産じゃないの!という気持ちはありますが相続税においては上記の考え方をしますので、ご参考にして下さい。
ただし、相続税では内助の功を考慮してといいますか、夫婦が長年協力して築き上げた財産であることを趣旨として『配偶者の税額軽減』という制度があります。
次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからない。という制度です。
(1)1億6千万円
(2)配偶者の法定相続分相当額
注)この制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれません。
この注)に気を付けて下さい。ですから上記(例)の××銀行預金を妻Bが「これは私の財産よ」と、夫Aの相続税申告の時に申告をしなかった場合に、その後の税務調査で妻Bが隠していたと認められたときは、その××銀行預金には『配偶者の税額軽減』は適用されず課税されてしまいます。最初から夫Aの相続税申告の時に計上しておいた方が良かったかもしれませんね。