2018.09.07
こんにちは。
今回、初めてコラムを書きます。
どうぞ、最後までご一読いただけたら嬉しく思います。
私のこの夏の思い出
8月、妻が第二子を出産しました。
第一子の時は、立ち会わなかったのですが、今回は、子供が産まれてくる瞬間をテレビでなく、生で見られる機会はそうそうないという興味本位と、2度目とはいえ、不安がる妻を少しでも後押ししようという気持ちから立会うことにしました。
そう、帝王切開で立会ってあまり聞かないですよね。
私が、オペされている先生の反対側に座って、妻と助産師さんと他愛もない話をしながら2時間過ごすのです。手術ですので、結構リアルです。
不思議な時間、空間でした。
皆さん、帝王切開ってどんなイメージお持ちですか?
→予定日=手術日? 術後とにかく痛い。
→今や5人に1人が帝王切開。20年前から倍増している。
→逆子=帝王切開
→初産が帝王切開なら、第二子も帝王切開?
→手術なので、入院・手術保険金がもらえる?
いかがでしょうか。
医療技術が進歩しており、母子への安全性も高く、陣痛の痛みがなく、かつ2時間程の手術で、精神的負担も少なく終えられるのが、帝王切開です。
これらが、増加傾向にある原因だそうです。
実際、私の妻は、手術時間が午前10時半の予定だったのですが、間に緊急による帝王切開(自然分娩の予定の方)手術が2件入り、開始は14時を超えておりました。
さすがに、1日がかりの手術で疲れましたが、無事産んでくれて妻には感謝しないといけないなと感じた1日でもありました。
これからは、父ちゃん頑張ります。
テーマ 家族信託って?
さて、今回から複数回(予定では3回)にわたって、家族信託について書いてみたいと思います。
第1回(今回) 家族信託って? どんなことができるようになるの?
第2回 家族信託を利用した場合の税金ってどうなるの?
第3回 家族信託の具体的な活用できるケースとは?デメリットはあるの?
では早速、本題に入っていこうと思います。
皆さん、家族信託って最近、耳にしません?
どんなイメージわきますか?
「なんか難しそう、家族に信じて託す?なにそれ・・」
信託という言葉を使っていますが、信託銀行に財産を預けて、運用して、分配金を得て、というような投資信託の意味はこれにはありません。信託銀行、投資信託とは一切関係のないお話なのです。
それなら理解しやすいかな・・・って思われたでしょうか。
実は、家族信託って、平成19年の小泉政権時代の規制緩和の時に生まれた制度で、歴史は浅いです。
以前は、信託法に、財産を信託する際は、必ず信託銀行が間に入ると決められていたのですが、規制緩和で信託銀行を経由しない信託も初めて認められるようになったのです。
Q 家族信託っていったい何?
家族信託とは・・・ 一言でいえば、
「わたし」の財産を、「あなた」に託します。だから、「あの人」のことを頼みます。
という契約を結ぶことです。
ここで、もう少しわかりやすく表で整理をしますと、
「わたし」 |
委託者(夫など) |
託す人 |
信用できる人に財産を託す。 |
「あなた」 |
受託者(息子など) |
託される人 |
財産を託され、管理する。 |
「あの人」 |
受益者(夫又は夫死亡後の妻など) |
守られる人 |
託された財産から利益を得る。 |
分かりやすく、例を挙げてみます。夫は、こんな不安を抱えているとします。
「将来、もし自分が認知症になったら、自分の財産はどうなるだろうか?私が、認知症になっても自宅をスムーズに売却して介護施設に入るためのお金を作れるだろうか? 認知症になってしまって、売却ができないくらいなら、まだ元気な今のうちに、息子(など)に財産を託して管理をしてもらいたい。ただ私が元気なうちは、管理の依頼だけにとどめて、財産からの恩恵(自宅の場合、夫が住み続けること)は引き続き、私(夫)が受け続きたい。」
こんな、夫の思いになるでしょうか。
この夫の思いを実現させてくれるのが・・・そう、「家族信託」なのです。
「家族信託」を利用すれば、財産管理をする息子さん(受託者)に、不動産であれば所有権が移ります。
所有権が息子さんに移りますので、夫が認知症になったとしても、息子さんが自宅を売却する契約を結べます。
所有権は移っても、夫は自宅に住み続けられますし、認知症になっても必要であれば、息子さんが代わりに売却行為を行ってくれます。
もし今回の例が、自宅ではなく賃貸物件の場合であれば、所有権は息子さんに移転し、物件の管理は息子さんが行いますが、賃貸物件からのお家賃は夫が引き続きもらうことができるのです。
Q 成年後見人や任意後見人とは、どう違うの?
ここである疑問がわくかもしれません。
夫が認知症になったら、成年後見制度や任意後見制度があるじゃないの。
と思われた方がいるかもしれません。
そうです。
確かに成年後見制度や任意後見制度を利用すれば、自分が認知症になった場合、あるいは、将来認知症になっても、変わりに代理人が夫に代わって、ハンコを押してくれます(売却などの重要な契約を結べます)。
ただし、「後見制度」では、約70%が弁護士や司法書士などのプロが後見人等になっているそうです。
そして、後見人は通常、報酬をもらって、被後見人(ここでは夫)の財産を守ります。
→ 夫が認知症になって、施設入居のためのお金が必要だからと言って、後見人は「では、ご自宅をすぐ売却しましょう」と言うでしょうか。難しいかもしれませんよね。なぜなら、後見人には、夫の財産を守る使命があるからです。
その点、家族信託では、通常、家族が夫の意志を受け入れて、受託者になって財産管理をします。
自宅の売却などの意思決定も、夫の意志を組み入れてスムーズなものとなるでしょう。
Q 家族信託は、遺言の盲点も補える?
家族信託は、遺言の足りない部分もフォローするのです。
例えば、
子供がいない夫婦の場合、夫は先祖代々から受け継いだ夫所有の土地を遺言で、妻に渡すことを選択するとします。
ただ、夫はこの先祖代々から引き継いだ土地を、妻の死亡後は、自分の親族の甥っ子、姪っ子に受け継いでもらいたいと思っているとします。
この場合、遺言でこの土地を受け取った妻が、今度は妻自身が、夫の甥っ子、姪っ子にあげる旨の遺言を残さない限り、この土地は、夫の甥っ子・姪っ子にはわたらないのです。
妻にわたると、次は妻側の親族、例えば妻の兄弟姉妹などにわたる可能性が高いです。
そう、遺言では 財産の引き継ぎ先(父の意志)を2世代先までは確定できないのです。
→ 家族信託では、土地を夫の甥っ子などに信託し(管理を託し)、土地からの地代などの受益権を、夫の生存中は、夫が取得、死亡したら妻に、妻が死亡したら、夫の甥や姪と設定することが可能なのです。そうすれば、夫の意志どおり、先祖代々の土地を自分の親族へ引き継いでいけますよね。
Q 夫のライフステージ別で比較してみると・・・
長々と書いてきましたが、家族信託のポジションを夫のライフステージであてはめると、下表のようになるでしょうか。
ライフステージ別 |
元気なうちに |
認知症になったら |
死亡した場合に備えて |
父の意志表示方法 |
家族信託 |
成年後見、任意後見 |
遺言 |
現状の方法では |
家族の理解は必要 作成に相応の費用も |
画一的な対応で夫の意志実現できない場合あり。 |
2代先までは、夫の意志を残せない。 |
家族信託にも、良し悪しがあります。成年後見、遺言これらと組み合わせて、状況に応じて、利用されるのが良いのではないでしょうか。
次回は、家族信託を利用した場合に、税金がどこにどのくらいかかるか、考えていきたいと思います。
最後まで、一読いただきまして、ありがとうございました。