2018.09.14
目次
- 秋の入り口に毎年すること
- 前回のおさらいと、所得割額について
- 所得割額について比較してみた
- では、なぜ「地域差がある」と言われるのか?
1. 秋の入り口に毎年すること
コラムを読んでいただきありがとうございます。
もう9月も半分が過ぎようとしていますね。
9月といえば、秋の入り口。
私が大好きな渓流釣りも、魚たちが産卵の季節を迎えるのに伴い、ほとんどの地域で9月末をもって禁漁期間に入ります。
私は日本の四季の移ろいを肌で感じることのできる、魚釣りという遊びが一番の趣味なのですが、その中でも特にサケやマスの仲間を狙う「トラウトフィッシング」をこよなく愛しています。
代表的なものは渓流釣りですね。
この釣りをしていると、季節の移り変わりをより近くで感じ取ることができる気がします。
例えば、
「藤の花が咲いてから2度目の満月だから、魚はここに居るはず」
「彼岸花が咲いてからはじめての大雨だから、潜んでいた魚が帰ってくるはず」
ベテランの釣り人はこんな風に魚の居場所を推測します。
カレンダーを眺めて「もう9月か、そろそろ秋だなぁ」と感じるよりも、もっと季節の変化に寄り添っているような気がしませんか?
この時期、私がとても大切にしている時間がありますので、皆様にご紹介したいと思います。
それは、
「太陽が昇る前に起きて、星を眺めながら朝食をとる」
ことです。
これを、渓流釣りをするような山奥でやるんです。
私がよく行く場所の昨年9月14日の最低気温を調べてみると、なんと8.9度でした!
とはいえ9月ですから、まだまだ日中は暑いんですけどね。朝夕はかなり冷え込みます。
「昼間はまだまだ暑い夏の空気。でも夜は冷え込んですっかり秋の空気に入れ替わり、夏とは違う虫たちの声が聞こえ、そして見上げてみれば冬の星座が見える。
ひんやりした空気を感じながら、手早くホットサンドを作る。お湯を沸かし、温かいコーヒーを飲みながらお気に入りの椅子に腰掛けて、ランタンの明かりを消して星を眺める。」
あれ?9月に冬の星座?と思いませんでしたか?
ぜひ、早起きをして確かめてみてください。きっとオリオン座と秋の気配を見つけられると思いますよ。
さて、今日のコラムは前回に引き続き、あなたが住んでいる自治体に納めている
「住民税」
についてです。早速みていきましょう。
2. 前回のおさらいと、所得割額について
住民税には、電話料金の基本料金みたいな「均等割額」と、所得をもとに計算される「所得割額」があるんでしたね。
前回は基本料金部分である「均等割額」についてご説明しました。
・「標準税率」が定められていて、都道府県・市区町村をあわせて5,000円程度がキホン
・自治体によっては、上乗せされている場合がある
・均等割額は、払わなくていい人もいる。その場合、他の恩恵が受けられる場合もある
・高いところと安いところ、差は最大でも1,200円とそう大きくない
要点をまとめるとこんな感じでしたね。
今回は、住民税のうち「所得割額」を中心にご説明いたします。
所得割額は、金額が一定の均等割額とは違い、「課税所得金額」に対し税率を掛けて算出した金額から、住宅ローン控除や寄付金控除などの税額控除金額を控除して計算します。
つまり、所得(ざっくり言うと、儲けです)が多ければ多いほど、比例して税額も増えていきます。
基本料金みたいな均等割額に対して、使った分(儲けた分)に比例してかかる通話料金みたいなイメージでしょうか。
ところで、所得に対してかかる税金といえば、代表格は「所得税」です。
所得税と住民税の所得割、計算構造はよく似ておりほとんど一緒です。
違いとしては
- 所得税は課税所得金額によって税率が変動する(累進課税)のに対して、住民税は一定の税率をとっている
- 扶養控除、配偶者控除、基礎控除など、一部の所得控除の控除額に違いがある
- 調整控除、配当控除など、一部の税額控除の制度に違いがある
- 住民税にのみ、非課税限度額の制度がある
などがあります。
さて、均等割額に引き続きここでも登場するのが「標準税率」です。
所得割額の標準税率は、以下の通りとなっています。
道府県民税:4%
市町村民税:6%
ただし、税制改正によって平成30年度からは一部の指定都市については
道府県民税:2%
市町村民税:8%
となっている自治体もあります。内訳が変わっただけで、トータルでは10%で変わりありません。
全ての自治体がこの標準税率を採用していれば差は生まれないんですが、標準税率以外の税率を採用している自治体がありますので、地域差が生まれてくるんですね。
3. 所得割額について比較してみた
では、実際に比較をしてみましょう。
とはいえ、標準税率以外の税率を採用している自治体は少数派です。
平成30年現在の状況を調べてみると……
- 標準税率より高い税率を採用しているところ
神奈川県・・・標準税率+0.025%
豊岡市・・・・標準税率+0.1%
- 標準税率より低い税率を採用しているところ
名古屋市・・・標準税率-0.3%
となっています。
では、年収500万円で、社会保険料を年間63万円納めているAさんの場合、どれくらいの違いになるかを検証してみましょう。
生命保険料控除や扶養控除などは、今回考慮しないものとします。
まずは、税率を掛ける前の「課税所得金額」を算出します。
収入 500万円
△給与所得控除 154万円
△基礎控除 33万円
△社会保険料控除 63万円
250万円
となりました。
(ケース1)港町と中華街!神奈川県横浜市の場合
均等割額:6,200円(標準税率+1,200円)
所得割額:248,100円(標準税率+600円)
合計:254,300円(標準税率+1,800円)
(ケース2)コウノトリや城崎温泉が有名な、兵庫県豊岡市の場合
均等割額:5,800円(標準税率+800円)
所得割額:250,000円(標準税率+2,500円)
合計:255,800円(標準税率+3,300円)
(ケース3)税理士法人カオスのある、人情の街大阪府大阪市の場合
均等割額:5,300円(標準税率+300円)
所得割額:247,500円(標準税率)
合計:252,800円(標準税率+300円)
(ケース4)トヨタのお膝元中部の大都市、愛知県名古屋市の場合
均等割額:5,300円(標準税率+300円)
所得割額:240,000円(標準税率-7,500円)
合計:245,300円(標準税率-7,200円)
このように、均等割額の差を含めても、1万円程度の差になりました。
1万円という金額が大きいかどうかは置いておいて、
「地域によって住民税の額にとても大きな格差がある!」
とは言えないと思います。
4. では、なぜ「地域差がある」と言われるのか?
上記のように、実際に比較をしてみると、問題になるような大きな差は見られないということが分かりました。
しかし、住民税以上に地域差があるものがあります。
それは、
フリーランスの方や定年退職をした方にかかってくる
「国民健康保険料」
です。
この国民健康保険料に比べれば、住民税の地域差なんて問題になりません。
市町村によって、同じ所得の状況でも倍以上の違いがあることもありえます。
今年(2018年)は、4月に国民健康保険の制度変更が行われました。
気になるのは
「実際にどれくらいの差があるのか?」
「制度の変更によって、これからどうなっていく見込みなのか?」
というところですが、
詳しくは、また次回のコラムで検証をしてみたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!